
2024年は、衆議院選挙や東京都知事選挙、兵庫県知事選挙など、今後の日本の政治に大きな影響を与える選挙が相次いだ。
経済の低迷や国際情勢の不安定化などの課題が山積する中で行われた衆議院選挙では、「政治とカネ」の問題が再燃し、自民党が過半数を割る一方、国民民主党をはじめとする野党が躍進を果たした。
東京都知事選では、小池百合子知事が三選を果たしたが、YouTubeを活用し無党派層から支持を集めた石丸伸二氏の健闘が注目された。また、AIを活用した「デジタル民主主義」の選挙戦も展開され、インターネットが選挙戦略に与える影響の大きさを示した。
2024年の東京都知事選挙では、過去最多の56人が立候補した
ふりかえると、2024年の選挙は、伝統的な政治への不信感が高まる中、SNSやデジタルツールを活用した新たな選挙手法が広がり、今後の政治戦略に大きな影響を及ぼす可能性が示唆される結果となったといえるだろう。
そこで、Public Meets Innovation(以下PMI)は、2025年1月、政治に関する意識や有権者のSNS利用の実態を把握するため、全国の有権者1,000人あまりを対象にインターネットで意識調査を実施した。そこから得られた質問項目ごとの回答傾向のうち、本稿では速報としてその一部を抜粋してご紹介したい。
なお、以下の結果は、回収した全サンプル(N=1,008)を統合した集計値であり、年齢層および性別に関係なく全体傾向を示すものである。
ニュースの主役は「地上波テレビ」と「ニュースサイト」
調査における最大のハイライトは、有権者の情報源であった。特にSNSの影響力に注目が集まった2024年の選挙を振り返ると、多くの有権者が伝統的なメディアからSNSなど新興メディアに情報源をシフトしているようにも思われる。こうした実態を調査するため、有権者が、ふだんから情報を得る際にどういったメディアに依存しているかを確認した。
全年齢を対象とした調査の結果、日常的な情報収集の手段としてもっとも多く利用されているのは「地上波テレビ」であり、次いでYahoo!ニュースやLINEニュースなどの「ニュースサイト」が続いた。
3位には「YouTube」がランクインしたものの、「X(旧Twitter)」や「全国紙」の新聞は中位にとどまる結果となった。
あなたは普段、政治・経済・文化など社会の様々な情報・ニュースを知るために、どのようなメディアを利用していますか?に対する項目別回答割合(N=1,008)
選挙の情報源は「テレビ」「ニュースサイト」「選挙公報」が中心
上の質問ではふだんから利用している情報源を確認したが、実際に選挙に際して投票をするとき、有権者が頼りにしている情報源についても同時に調査を行った。
全年齢を対象に直近の選挙において参考にした情報源を尋ねたところ、もっとも多くの人が参考にしたのは「地上波テレビ」であり、次いで「ニュースサイト」、「選挙公報」が続いた。上の質問と同じく、「地上波テレビ」と「ニュースサイト」がもっとも頼りにされていることが伺える。
一方で、日常の情報源として一定の利用が見られた「YouTube」は、選挙においては参考先としての影響力が低く、「X(旧Twitter)」同様中位以下にとどまった。
あなたが直近、投票に行った選挙で以下の情報源をどの程度参考にしましたか?に対する項目別回答割合(N=1,008)
この結果から、SNSや動画メディアは、情報収集手段として一定の役割を果たしているものの、選挙に関する意思決定には必ずしも大きな影響を及ぼしていないことが示唆される。
一方で、地上波テレビやニュースサイトは、日常の情報源としてだけでなく、選挙においても信頼される主要な情報源として、一定の認知を保持していることが確認された。
投票の決め手は「候補者の政策」が圧倒的
あわせて、個性豊かな候補者が集まった昨年の選挙を振り返ると、実際に有権者がどこに注目して投票をしていたかが気になるところだ。
調査では、投票時に重視する要素について複数の選択肢から回答を得た結果、最も重視されていたのは「候補者の政策」だった。次いで「特にない」という回答が多く、3番目には「候補者の政治思想」が挙がった。
あなたが普段、投票する際に重視する要素は何ですか?(3つまで選択可)に対する項目別回答割合(N=1,008)
一方で、「所属政党」は投票時の判断基準としては比較的低い水準にとどまり、政党よりも候補者個人の政策や思想が重視される傾向が明らかになった。
最も信頼されるのは「法制度」、最も低いのは「インフルエンサー」
本調査では、政府や議会、行政機関、メディアなどに対する信頼度も確認した。情報の流通量が加速度的に大きくなり、どの情報を信頼すればいいのか、何が正しいのかが分からないという事態は、昨年の選挙を振り返った際に多くの有権者が感じたことだろう。
複数項目に関する信頼度を聞いた結果、もっとも高い信頼度を示したのは憲法や法律、裁判所などの法制度で、次いで中央省庁や地方自治体といった行政機関がランクインした。
とはいえ、すべての項目において「完全に信頼している」「ある程度信頼している」という回答は50%を下回っており、有権者が何を信頼すればいいのか分からないという情報化社会の難しさを感じ取ることができる。
あなたは,以下にあげる項目などを、どの程度信頼していますか?に対する項目別回答割合(N=1,008)
一方で、「まったく信頼していない」「あまり信頼していない」という回答割合が顕著に大きかったのは「インフルエンサーや芸能人」だった。続いて「動画メディアなどの新興メディア」「国会」「日本政府」と、政治機関や新興メディアへの信頼が低いことが浮き彫りになった。
この結果から、法制度や行政機関には一定の信頼があるものの、国政やメディアに対する不信感が根強いことがうかがえる。
さいごに
本稿では、PMIが2025年1月に実施した政治意識調査の速報として、一部のデータを紹介した。予想通りの結果もあれば、意外な発見もあったのではないだろうか。
2025年には、東京都議会議員選挙や参議院選挙など、引き続き重要な選挙が控えている。PMIでは、本調査のデータをさらに分析し、今後の選挙に向けた追加調査の結果も発表する予定である。
また、PMIは2023年末にも同様の政治意識調査を実施し、その結果と今後に向けた提言を「Democracy2.0 ~Z・ミレニアル世代が問い直す日本と政治のいま~」として公開している。ぜひ、その結果もあわせて参照いただきたい。
https://note.com/pmi/n/n84f4ac7ff56a
※ 調査概要・調査方法インターネット調査(インターネット調査会社経由)・調査期間インターネット調査会社経由:2025年1月23日・調査対象者インターネット調査会社経由: 20代~70代の日本国内に居住する日本国民・有効回答数インターネット調査会社経由:1,008名※本調査では、15歳から70歳未満の年齢層を5歳刻みの層別サンプリングにより分類し、各年齢層において男性・女性それぞれ42サンプルを回収した。また、70歳以上の層は単一カテゴリとして扱い、同様に男性・女性それぞれ42サンプルを回収した。